昭和歯学会雑誌
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連続波Nd-YAGレーザー照射時のエナメル質表面の形態的変化
白須賀 哲也若林 始出張 一博小高 鉄男Sharif AHMED松本 光吉
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1990 年 10 巻 2 号 p. 206-215

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抄録

レーザー照射によるエナメル質耐酸性付与効果は, 同装置による蠕蝕予防法の可能性を示してきた・しかし, 臨床応用へ至るにはいくつかの問題点がある.その一つにエナメル質に対する形態的変化が考えられる.本研究の目的は, 照射条件や, エネルギー量を変化させた際に生じるエナメル質表面の形態的変化を走査電子顕微鏡により観察し, 臨床応用上の安全域を検討することにある.本研究は連続波Nd-YAGレーザーを使用した.実験群は墨塗布群と未塗布群を, また, APF塗布群とAPF併用レーザー照射群も設定した.照射条件として, 照射エネルギー量を強 (約80-150J/cm2), 中等度 (約40-60J/cm2), 弱 (約20-30J/cm2) とし, さらにレンズ装着と未装着の場合を設定した.実験処理終了後, 走査電子顕微鏡による観察を行い, コントロール群と比較検討した.その結果, エナメル質表面には, レーザー照射部位における小孔の形成, 溶融凝固した領域, 表層の剥離面と粗造な小柱構造, クラックあるいは亀裂, そして形態的変化なし, 以上の観察所見が得られた・また, 2%EDTA溶液に15分間浸漬して同様に観察した結果, 墨塗布, 強いエネルギー量による照射 (約80-150J/cm2) により得られた溶融凝固したエナメル質部分に, 耐酸性付与効果が認められた.

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