昭和歯学会雑誌
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フィリピン人学童の頭・顔面形態の発育についての人類学的研究
山口 普美濃部 浩久
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1990 年 10 巻 4 号 p. 429-445

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抄録

日本人の起源については, いまだ不明な点が多い.本研究では, 日本人同様, モンゴロイド人種の影響を受けていると考えられるフィリピン人の頭顔面部の成長についての研究を行った.本研究の対象となったのは, フィリピンマニラ市内および近郊在住の学童である.その結果, フィリピン人学童の性差の出現は, 年齢では13歳以降, 身長では140cm以上, 歯牙年齢ではIII C以降にみられた.歯牙年齢を用いると, 性差の出現時期を明確に区別できると考えられた.また, フィリピン人女子の発育は, 14歳で成人と同じ値をとっており, この時期に発育が終了するものと考えられた.また, 男子では頭部の発育は14歳までにほぼ終了しているものの, 顔面部の発育はその後も続くと考えられた.フィリピン人学童の成長は, 台湾人学童と類似した点が多くみられるが, 成長の過程を細かくみると, 成長のピークの時期の違いなど人種的特徴があると考えられた.

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