昭和歯学会雑誌
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われわれの行っている下顎枝外側骨片復位およびチタンネジ止め固定法について
第7報-補綴および外科的処置例-
金 修澤秦 博文藤田 春雄澤田 久山縣 健佑大野 康亮中村 篤工藤 昌人斎藤 健一道 健一篠原 親後藤 昌弘柴崎 好伸
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1992 年 12 巻 3 号 p. 243-248

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抄録

顎関節症状を伴う顎変形症患者1名に対して歯科矯正科, 補綴科, 口腔外科のチーム・アプローチによって咬合を改善した.症例は30歳の男性で顎関節の雑音を伴う落痛および顔貌の異常が主訴であった.口腔内所見では下顎前歯を除くほぼ全顎に補綴処置が施されていたが, 不適合補綴物が多く, 大幅な咬合高径の増加と術後補綴処置が必要なことより矯正治療の適応外と診断された.治療経過としてはまず, 暫間補綴処置により安静空隙の範囲内で咬合を挙上した.そして咬合器上で規定した下顎の予想後退位置にて咬頭嵌合するように上下臼歯部鋳造冠およびブリッジを作製した.下顎後退手術に際しては, 術前に咬合挙上し, 症状が消失した下顎頭位を保持するように復位, ネジ止め固定を行った.術後1年の経過においても顎関節の状態は良好で, 手術直後の咬合関係が保たれていた.このように術前の補綴処置と外側骨片復位ネジ止め固定システムを組み合わせることにより良好な結果が得られた.

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