昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
カルシア鋳型材を用いたチタン鋳造に関する研究
(第4報) 鋳造機の操作要因が鋳造体の硬さに及ぼす影響
玉置 幸道堀田 康弘田中 久雄宮崎 隆
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 13 巻 3 号 p. 237-242

詳細
抄録

チタン鋳造における溶解時の雰囲気が鋳造体の品質に及ぼす影響についてアルゴン融解加圧鋳造機を用いて検討した.銅金型と試作のカルシア鋳型を用いてアルゴンガス置換の回数を変えた場合, 置換を行わず排気時間を延長した場合, 排気量の大きいロータリーポンプを利用した場合についてそれぞれチタン鋳造の実験を行い, 鋳造体の硬さを測定した.アルゴンガス置換の回数を増加することにより溶解室中の酸素濃度が減じられ, 得られた鋳造体の硬さは顕著に小さくなることが認められた.排気時間を延長した場合, 銅金型では2分間までは硬さは減少する傾向を示したが, 60分間排気した場合は逆に若干増加していた.カルシア鋳型の場合は, 排気時間の延長による硬さの変化は認められなかった.これらの結果から, 排気時間の延長とアルゴンガス置換では置換回数を多くした方が汚染を少なくする効果があることが示唆された.新しく利用したロータリーポンプは鋳造機付属のポンプよりも排気力が強く, 操作時間を短縮できることが認められた.また, ロータリーポンプを用いて1000℃のカルシア鋳型中にチタンを鋳込んだところ, 鋳造機付属のポンプを用いた場合よりも硬化層の薄い鋳造体が得られた.これらのことから, 真空ポンプの性能は操作性を改善し, 高品質のチタン鋳造体を得るために有用であると考えられた.

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top