1994 年 14 巻 1 号 p. 57-61
今回, 著者らは両側にみられた下顎第二大臼歯の水平埋伏した1症例を経験した.症例は, 28歳女性で, 右側下顎第一大臼歯の痛みを主訴として来院した.X線検査の結果, 下顎第二大臼歯が両側ともに水平に埋伏しており, さらに重積するように下顎第三大臼歯が萌出していた.処置は右側下顎第一大臼歯のアマルガム充填の二次う蝕のインレー充填と.両側下顎第三大臼歯のう蝕2度のインレー充填である.下顎第二大臼歯の埋伏については今回は処置はなにもしなかった.埋伏となった原因としては, 全身的な異常所見や顔面外傷, 顎骨発育不全などもみられないため, 局所的原因が強く, 歯胚の傾斜異常ではないかと思われた.