昭和歯学会雑誌
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頚部の血管系の臨床解剖学的検討
島 晴信大野 康亮道 健一江川 薫滝口 励司
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1997 年 17 巻 2 号 p. 171-175

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抄録

口腔腫瘍切除後の軟組織再建に微小血管吻合を応用した遊離組織移植が急激に増加している.しかし遊離組織移植の際に有用となる頚部の血管系に関する臨床解剖学的検討は見られない.そこで本研究では21体の解剖体を使用して頚部の吻合血管として使用される動静脈について血管の内径ならびに区間距離について検討し, 以下の結果を得た.1.血管吻合部に相当する部位の動脈の内径は, 外頚動脈以外では顔面動脈が1.7mmと最も太い結果であった.2.血管吻合部位に相当する部位の静脈の内径は内頚静脈以外では外頚静脈が3.6mmと最も太い結果であった.3.血管の区間距離は頚横動脈浅枝が5.6mmと最も長い結果であった.4.動静脈の内径ならびに動脈の区間距離には左右差は認められなかった.これらのことから, 遊離組織移植の際に有用と考えられる頚部の内径と動脈の区間距離についての臨床解剖学的な基礎的事項を明らかにし得たものと考えられた.

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