昭和歯学会雑誌
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加齢に伴うラット顎関節円板の関節面における立体線維構築の変化
瀬川 和之沓沢 亨岩崎 恒夫滝口 励司
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1997 年 17 巻 3 号 p. 225-232

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抄録

顎関節円板におけるコラーゲン細線維の立体構築と加齢あるいは咬合の変化との関連を検討するために, 生後1~110週齢までの加齢ラットモデルを用い, 顎関節円板のコラーゲン細線維を走査電子顕微鏡で観察した.ラットの顎関節円板は線維性結合組織の組織像を呈していた.線維芽細胞はラットの加齢とともに減少していた.1週齢ラットの顎関節円板の関節面には, コラーゲン細線維による網状構築が認められたが, 円板深部にはすでに束状の線維構築が存在した.6週齢ラットの顎関節円板では, 関節面の大部分が細線維網によって占められていたが, 部分的にほぼ前後方向あるいは内外側方向に配列された細線維束が出現していた.11週齢ラットの顎関節円板には, 顕著な細線維束とこれを被覆する疎あるいは密な細線維網が認められた.細線維束は円板中央部では前後方向に, 円板前方および後方では主に内外側方向に配列されていた.円板の内外側縁では, 細線維束は周縁の輪郭と一致した方向に配列されていた.このような細線維の立体構築および配列方向は, 以後の加齢過程においても維持されていた.ラットの顎関節円板では切歯や臼歯の萌出あるいは咬合の成熟に伴って, 関節面表層の細線維構築が網状から束状, さらに発達した束状へと変化した.また加齢に伴って, 内外側方向へ配列する細線維束が円板前方および後方で顕著に増加していた.110週齢ラットの顎関節円板の下関節面では, 前方に細線維網からなる雛壁構造, 中央付近に回旋する細線維小束がしばしば出現した.老齢ラットの円板の下関節面に出現した2種類の細線維の異常構築は, 円板関節面の損耗過程の一部であると考えられる.

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