昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
ワイヤ放電加工処理を施したチタン板は電解液中で表面にリン酸カルシウム薄膜の析出能を向上する
藤森 伸也鈴木 正子柴田 陽藤野 茂宮崎 隆
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 17 巻 4 号 p. 362-367

詳細
抄録

チタンの骨に対する高い親和性の理由の一つとして, 疑似体液中に浸漬した場合に, 選択的にリン酸カルシウムの薄膜を生成する能力があることがあげられる.この能力はチタン板表面の化学構造により影響される.本研究の目的は, 表面にTiO2, TiO2Ti2Oと傾斜機能的に変化する厚い酸化チタン層を有する, ワイヤ放電加工処理チタン板のリン酸カルシウム薄膜の析出能を検討することである.ワイヤ放電加工処理チタン板と, コントロールとしての研磨チタン板を, 37℃の電解液 (無機成分のみのハンクス溶液) に30日間浸漬し, チタン板表面に析出するリン酸カルシウム薄膜の分析を行った.XPS分析およびFTIR分析からいずれのチタン板表面においても, アパタイト様のリン酸カルシウム薄膜の存在が認められた.表面観察から両方のチタン板表面には, 半透明の薄膜が形成され, ワイヤ放電加工処理チタン板では, より厚い粒塊構造物が観察された断面の観察から, ワイヤ放電加工処理チタン板表面には, 研磨チタン板よりも厚いμmオーダの薄膜が形成されたことが確認された. 以上より, ワイヤ放電加工処理チタン板では, 電解液中でのリン酸カルシウム薄膜の生成能が向上し, 骨に対する高い親和性を有していることが判明した.

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top