昭和歯学会雑誌
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シリンダー形状インプラントは骨内埋入後にスクリュー形状インプラントと同等の初期安定性を得ることができる
宮崎 隆堀田 康弘小林 幸隆藤原 稔久
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1997 年 17 巻 4 号 p. 368-376

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抄録

現在歯根形状インプラントが主流になり, 形状的にはシリンダー形状とスクリュー形状インプラントが用いられている.埋入されたインプラントが良好な骨結合の治癒をするためには, 埋入後の初期安定性が重要な因子である. 本研究の目的は, 歯根形状インプラントの初期安定性, 特に臨床的に埋入孔にプレスフィットされるシリンダー形状インプラントの初期安定性を検討することである. 典型的なシリンダー形状とスクリュー形状インプラントのモデルをつくり, コンピュータの有限要素法解析を行った.シリンダーインプラントの摩擦係数を0-0.3に設定した.またインプラントの直径と埋入孔の直径の差を0, 10, 20μmに設定した (常にインプラントの直径≧埋入孔の直径).安定性の評価として, 荷重を加えたときのインプラントと骨の相対変位量を求め, またインプラント周囲の骨に発生した応力を求めた.スクリュー形状インプラントは摩擦係数がゼロ, ギャップがゼロの場合でも相対変位が小さく安定性に優れていた.一方, シリンダーインプラントは, 摩擦係数とギャップがゼロの場合には相対変位が大きく安定性に劣っていた.しかし, シリンダーインプラントの安定性は, 摩擦係数の増大とともに, またギャップの増大とともに向上し, スクリュー形状インプラントと同等の安定性を得ることが可能であった.骨に生じた応力を考慮すると, 摩擦係数のできるだけ大きいシリンダーインプラントを, インプラントの直径よりもわずかに小さく準備された埋入孔に埋入するのが, 安定性を確保し, かつ骨に負担をかけないために有利であると言える.従って, シリンダーインプラントの成功の鍵は, 埋入孔の形成精度とインプラント本体の表面性状であると考えられる.

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