昭和歯学会雑誌
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CT画像を用いた歯根表面積の算出および固定源の評価に関する研究
松本 一彦槇 宏太郎中納 治久柴崎 好伸
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2000 年 20 巻 1 号 p. 62-68

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抄録

矯正治療における非移動歯の固定源としての強弱 (anchorage value) を評価する目的で, CT画像を用いた歯根表面積算出方法の精度を検討し, 既存の資料から被験者21名における計測を行った.さらに, 臨床で用いられているエッジワイズ法の治療術式を想定し, 移動歯-非移動歯問の表面積比率を算出した.その結果, 抜去歯を対象に非接触・高速三次元形状計測装置を用いて測定した面積値と断層厚2mmのCT画像から得られた面積値の誤差は3%以内であった.また, 被験者のCT画像から算出された面積値は, 同名歯の比較においても各個体問に大きな差が見られ, 移動メカニクスを立案する上で従来考慮されていた移動歯一非移動歯間の比率に合致する例は少ないことが判明した.したがって, より正確な歯の移動を行うためには十分な固定源の確保とともに, 将来的には何らかの方法を用いた歯根表面積の算定が必要であることが示唆された.

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