昭和歯学会雑誌
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アナターゼ型酸化チタン膜を生成したチタン板表面のぬれ性と抗菌性に対する紫外線照射の効果
池田 祐子五十嵐 武藤森 伸也後藤 延一宮崎 隆
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2000 年 20 巻 2 号 p. 215-222

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抄録

近年, 酸化チタンの結晶形態の1つであるアナターゼ型酸化チタンに紫外線を照射することによって, 親水性, 防汚性, 抗菌性などの付加的効果が現れるという報告がある.本研究では, 表面にアナターゼ型酸化膜を形成したチタン板を用いて, 紫外線照射による酸化膜表面のぬれ性の変化と抗菌力獲得の有無を調べ, この両者の関係について検討を行った.チタン板表面のぬれ性は, 紫外線の照射時間に依存して増強し, 24時間の連続照射で最大となった.しかし, このぬれ性には持続性がなく, 照射後速やかに回復した.したがって, ぬれ性の保持には紫外線の継続的照射の必要性が示唆された.一方, チタン板表面上での齲蝕原性細菌に対する抗菌効果は, 紫外線照射時および照射後のどちらにおいても観察されず, チタン板表面の酸化膜の存在は抗菌性とは直接関係していないことが示唆された.

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