昭和歯学会雑誌
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歯周炎自然史の疫学的研究
鈴木 基之伊佐津 克彦須田 玲子趙 東生長谷川 紘司
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2001 年 21 巻 1 号 p. 109-112

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抄録

歯周炎の自然史を究明する為に歯科医療低普及地帯住民を対象として3年間に渡る経年的追跡調査を行った.対象は中国河北省の無歯科医村の住民486名 (男211名, 女275名, 年齢14~44歳).対象者の腔内を4分割し, 上下・左右を含む2区分を無作為に選択しプラーク, 歯石の付着状況, 歯肉の炎症程度, Probing Depth, Attachment Levelの計測を十分にカリブレーションを行った4名の診査者で行った.診査はべースライン時と2年後に行った.生活習慣, 口腔内状況, 歯科受診歴, 口腔清掃習慣に関する27項目の対面聞き取り調査を行った.対象者の70%以上で歯科受診経験は無く, 口腔清掃習慣は女性, 若年者を除き不良であった.歯周組織診査で個人のPD, ALの平均値は増齢的に増加していた.個人の平均値の経年観察結果は手金値の増加が認められたが, 部位別経年観察結果ではそれぞれ90%以上の部位では変化が無かった.以上の結果より, 歯周炎の進行は部位ごとに持続進行しているのではなく, 静止部位と活動部位が存在することが示唆された.

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