昭和歯学会雑誌
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要介護高齢者に対する器質的・機能的口腔ケアの介入効果
摂食状態, 口腔衛生状態, RSST・フードテストについて
田村 文誉水上 美樹綾野 理加石田 瞭大久保 真衣原 明美萬屋 陽大河内 昌子向井 美惠
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2001 年 21 巻 1 号 p. 92-96

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抄録

要介護高齢者108名を対象とし, 歯科衛生士による専門的口腔ケアの介入程度について3群に分類した.対象者に対し, 介入前と介入2か月後, 4か月後の3時点において, 歯科医師, 歯科衛生士が口腔内診査および機能検査を行った.そのうち, 経管栄養2名を除し, 非介入のA群31名, 器質的口腔ケア介入のB群34名, 器質的・機能的口腔ケア介入のC群41名の3群における専門的口腔ケア介入の効果について検討した.その結果, 以下の知見を得た.1.食べこぼしの頻度は, ほとんどこぼさない者はA群において, 介入前の30名中18名 (60.0%) から, 2か月後には13名 (43.3%), 4か月後には9名 (30.0%) へ減少していた.介入前と4か月後とを比較すると, 5%の危険率で有意差がみられた.B群において, 食べこぼしが頻繁な者は, 介入前の33名中11名 (33.3%) から2か月後には7名 (21.2%), 4か月後には1名 (3.0%) に急激に減少した.介入前と4か月後とを比較すると, 1%の危険率で有意差がみられた.2.舌苔の付着状態は, 「なし」か「わずかにみられる」者がB群では, 介入前の34名中12名 (35.3%) から, 2か月後には25名 (73.5%), 4か月後には30名 (88.2%) と急激に増加した.介入前と2か月後とを比較すると5%, 4か月後とを比較すると1%の危険率で有意差がみられた.以上の結果より, 歯科衛生士による専門的口腔ケアは, 要介護高齢者の口腔の衛生状態や摂食・嚥下機能の維持・増進に寄与することが示唆された.

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