昭和歯学会雑誌
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晩発性障害を生じた放射線照射骨の骨創治癒に対するrhBMP-2の効果
ラット脛骨を用いた実験的研究
塩谷 祐治松井 義郎田村 明香劉 維賢大野 康亮道 健一立川 哲彦
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2001 年 21 巻 2 号 p. 249-258

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抄録

本研究は放射線照射後, 晩発性障害を生じたラット脛骨に形成した骨創の治癒に対するrhBMP-2の効果を明らかにすることを目的とした.実験には, 40匹の雄性Wistar系ラットを用いた.まず15Gy, あるいは30Gyのライナック1回外照射を右側下肢に行った.なお左側は非照射側とした.照射3か月後, 脛骨近位骨端部に骨欠損を形成し, 緩衝液のみを添加した担体を移植した群を対照として, rhBMP-2,100ng, 1μg, 2μgをpoly D, L-lactic-co-glycolicacid/ゼラチン複合体の担体に添加して移植した.移植2週間後, 創の治癒を組織学的に検討し, あわせて骨ミネラル含有量 (Bone Mineral Content;BMC) をperipheral Quantitative Computed Tomographyにより定量的に評価した.その結果, 晩発性障害を生じた放射線照射骨の骨創治癒に対するrhBMP-2の効果について次の結果を得た.1.BMP投与により, 15Gy, および30Gyの両照射群とも骨形成が促進された.2.両照射群では非照射群に比べ, BMPの増量効果は乏しかった.3.30Gy照射群ではBMPを投与しても担体中央部から外側辺縁部の骨新生は, 非照射群および15Gy群に比べ少なかった.以上のことからrhBMP-2投与は, 晩発性障害を生じた放射線照射骨に形成した骨創の治癒を促進するが, その程度は非照射群には及ぼないことが明らかとなった.

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