昭和歯学会雑誌
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唾液中のラクトフェリンとタンパク分画に関する研究
木村 江美子
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2001 年 21 巻 2 号 p. 267-278

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抄録

唾液中のラクトフェリン濃度を測定するために競合的ELISA法を構築し, その方法を用いて測定したところ, 健常者では7.72±3.74μg/ml (平均値±1標準偏差), 部分歯牙欠損を有する歯周炎患者では25.42±14.25μg/ml, 無歯顎患者では9.47±5.48μg/mlであり, 健常者, 無歯顎患者に対して歯周炎患者ではp<0.01で有意に高値であった.唾液中ラクトフェリン濃度はトランスフェリン濃度とはr=0.318, 白血球数とはr=0.483, プロービングデプスとはr=0.582といずれも正の相関が認められた.唾液中タンパク濃度は健常者では63.1±24.4mg/dl, 歯周炎患者では108.8±64.8mg/dlであり, 有意差はないが歯周炎患者の方が高値傾向にあった.セルロースアセテート膜電気泳動法と銀染色法により唾液中のタンパク分画の測定を行ったところ, 健常者ではIgA分画は濃染されたがアルブミン分画が薄く, またその位置に2~3本のバンドが見られた.一方, 歯周炎患者ではIgA分画の他にアルブミン分画が濃染された.また同じ歯周炎患者の歯國溝滲出液のタンパク泳動像は, アルブミン分画が濃染され, 唾液タンパクと類似した泳動像が得られた.これは, 歯周組織の炎症により微量の歯肉溝滲出液が唾液中に放出するためと考えられた.本研究から唾液中のラクトフェリン, およびアルブミンは歯周疾患の活動性を示す有用な炎症マーカーと成りうる可能性が示唆された.

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