2001 年 21 巻 2 号 p. 295-301
人口64万人をかかえる東京都大田区では, 平成7年度から8年度の2年間, 福祉部に在宅介護推進室を設置し, モデル地区を設けた.ここでのモデル事業は, 保健と福祉を統合した事業展開を行うことが目的であった.モデル事業内での調査結果は, 1.在宅での介護力の低さ, 2.機能に適した食形態が摂られていない.3.寝たきり度の低下にともない嚥下機能に問題を持つ者の割合が高くなる, など食生活にかかわる問題点が多いことが示唆された.そこで, 平成9年度から保健と福祉を統合したサービスを全区展開する中で歯科衛生士は, モデル事業の調査結果から, 「食生活にかかわるサービス」のシステムをつくった.このサービスは, 他職種, 他機関と連携しながら始まったもので, 今回はモデル事業の実態とともにサービスシステムとサービス開始時の実態について報告する.