昭和歯学会雑誌
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顎変形症患者における下顎頭形態の左右差に関する研究
3DCTによる検討
小林 廣之久保田 雅人槇 宏太郎柴崎 好伸
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2001 年 21 巻 4 号 p. 443-449

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抄録

顎矯正手術の適応とされる下顎の非対称症例において, 左右の下顎頭形態や筋付着部位の特徴について詳細な検討を加えることは, その発症の原因を探り, 術後の変化を予測する上で重要な課題である.そこで, 本研究では, 被験者34名において, 三次元CT画像を用いて顎変形症の左右関節頭の形態および関節頭と側頭筋付着部位である筋突起や外側翼突筋の付着部位である蝶形骨外側板の位置などに検討を加えることとした.その結果, 下顎頭長径および短径は偏位側で有意に小さく, また, 下顎枝と下顎頭長軸とがなす角, および下顎頭長軸と蝶形骨翼状突起外側板外面とのなす角は偏位側において大きな値を示した.これらの結果から, 咀嚼筋牽引の不均衡によって下顎頭軟骨成長に左右差が生じ, 顎の非対称を招来した可能性が示唆された.また, 両側下顎頭の非対称性は, 術後の顎運動時の左右差にも現れ, 予後の安定にも影響を及ぼすものと考えられた.

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