昭和歯学会雑誌
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顎裂部骨移植を併用した咬合再構成により歯科補綴条件が著しく向上した両側性唇顎口蓋裂の一治験例
大嶋 貴子平川 崇吉田 佳恵柴崎 好伸
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2002 年 22 巻 2 号 p. 144-152

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抄録

通常補綴的処置による咬合改善が図られていた両側性唇顎口蓋裂に対して, 成人後に顎裂部骨移植を併用して咬合を再構成することにより歯科補綴条件を著しく改善した治験例を報告する.症例は両側性唇顎口蓋裂の女性.口唇形成術を生後6ならびに9か月に, 口蓋形成を1歳9か月に実施, 7歳時矯正科初診し, 暫間的な咬合治療の後, 14歳時に補綴処置を実施した.治療方針再考の後, 23歳時に顎裂部に自家腸骨移植を実施し, マルチブラケットによる咬合再構成を行った.最終的に中切歯1本分の要補綴空隙を残し, 動的治療を終了した.結果として最小限の固定式補綴物の適用で咬合改善が図れたことで, 顎裂部骨移植の至適時期を逸した症例の咬合管理の可能性と限界を示唆することになった.

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