昭和歯学会雑誌
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新規義歯床延長および補修用コンポジットレジンのハイブリッド構造と曲げ特性
藤島 昭宏小林 賢一渡邊 竜登美廣嶋 ふみ子前原 聡佐藤 裕二宮崎 隆
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2002 年 22 巻 3 号 p. 207-213

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抄録

本研究では, 義歯床延長用ならびに義歯補修用材料として新しく開発された補修用コンポジットレジン (DRC) の特性について評価を行った.フィラー構造の特徴は, フィラー含有量, 反射電子像による形状観察およびEPMAによる組成分析により評価された.また, DRCの機械的性質を評価するため, サーマルサイクル (5℃-60℃/分, 5000回) 負荷前後の2条件における曲げ特性の測定を行い, 3種類の市販補修用レジンに対する比較を行った.DRCは, 2種類のペーストを練和するデュアルキュア (化学重合+光重合) 方式のコンポジットレジンである.DRCは, 球状の有機質フィラーおよびシリカから成る微粒子無機質フィラーとマトリックスレジンから構成され, 無機フィラー含有量は15wt%であった.曲げ試験では, DRCは他の補修用レジンに比較してたわみ量は最高値を示したが, 曲げ強さは最も低い値となった.さらに, サーマルサイクル負荷後の曲げ特性は, 他の補修用レジンに比べ低下の程度は小さかった.DRCの変形挙動は, 主に有機質球状フィラーによってもたらされていると推測され, 操作性を改善したコンポジットレジンでありながら大きな弾性変形挙動を示し, 変形に対して容易に破壊しないという特徴を持つことが認められた。今後静的破壊強度の向上等の改良点はあるものの, 床延長用材料のための適度な弾性と操作性を具備し, 義歯床補修用材料として有用な材料であることが示唆された.

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