昭和歯学会雑誌
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矯正治療における難治症例からの考察
第1報 顎変形症外科矯正症例
槇 宏太郎中納 治久久保田 雅人薄井 俊朗柴崎 礼子小川 尚己小林 廣之真鍋 真人南雲 正男柴崎 好伸
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2002 年 22 巻 3 号 p. 229-247

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抄録

5年以上の長期に渡る動的治療期間を要した外科矯正難治症例について, 治療手技や治療経過に対する考察から, 今後の矯正臨床上解決すべき問題点を抽出した.最も大きな問題点としては, 機能・咬合・形態, 三者間の相互関連性とその治療中の変化を, 定量的に評価し予測に用いることが不可能であった点が上げられた.そのため, 多くの症例において, 骨形態の大きな改善に伴った咬合の再構成基準が曖昧なものとなり, 治療が効率的かつ速やかに進行しなかったものと考察された.さらに, 個々の患者における皮質骨と歯根の植立状態の差異や, 遺伝的要因の影響なども, 診断時の情報として考慮すべきであることが指摘された.今後, より正確な治療目標の設定と, より科学的な臨床研究の立案を行うために必要な事項として, 以下の各点が上げられた.
1.定量的, かつ3次元的な画像診断方法の開発.
2.個々の症例における力学解析/シミュレーション手法の確立.
3.遺伝情報も考慮した診断方法の開発.

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