昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
短根歯を伴う歯根吸収症例の保定15年の報告
岩崎 浩一平出 隆俊
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 24 巻 1 号 p. 34-38

詳細
抄録

矯正治療における歯根吸収の発現はその出現程度の差はあれ避けられない.特に治療開始前に短根歯を認める場合, 治療に伴い過度の歯根吸収を招く場合が少なくない.一旦, 歯根吸収が出現すると矯正力が加わる限り増悪化するが力を除去すると吸収は中断し第2次セメントなどによる修復が行われると考えられる.この修復の変化は通常保定期間中に生じる変化と考えられる.しかし, このような長期観察の報告はほとんどない.今回, 著者らは治療開始9歳9か月, 上顎左右中切歯に短根歯を認め上下左右第一小臼歯4本抜歯, マルチブラケット (エッジワイズ法) にて治療を行い保定15年8か月 (計17年の症例) の長期観察症例を得た.そこで, 短根歯の歯根吸収ならびに修復状況の長期観察結果を報告する.1.矯正力により短根歯に歯根吸収が発現した.2.矯正力が軽減された時点から吸収部の修復が観察された.3.保定中は著明な変化は認められず安定していた.

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top