昭和歯学会雑誌
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強電解酸性ジェルの殺菌効果と歯周ポケット内細菌に対する影響
加瀬 智夏塚崎 弘明原 由利子金石 あずさ小林 茉莉芝 〓彦
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2004 年 24 巻 2 号 p. 153-159

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抄録

近年, 特殊な電解装置を用いてグリセリン水溶液に食塩を加え電気分解して生成される強電解酸性ジェルが開発された.このジェルは創傷治癒効果を有し, グラム陰性通性嫌気性桿菌に対して殺菌効果を示すのみならず耐性菌の出現がないことが報告されている.そこで我々は強電解酸性ジェルを歯周病治療の歯周ポケット内への局所投与に応用することを目的として, invitroで歯周病原性が強いとされるグラム陰性偏性嫌気性桿菌Porphyromonas gingivalis と、Fuasobacterium nucleatum の2種4菌株に対する殺菌効果と, in vivoで歯周ポケット内に強電解酸性ジェルを投与し, その臨床症状と歯周ポケット内の細菌および黒色色素産生性嫌気性桿菌に対する影響について検討を行った.in vitroでは強電解酸性ジェルソフトタイプ (グレープ無) は4菌株全てにおいて作用直後から殺菌効果が認められた.強電解酸性ジェルハードタイプ (グレープ有) は標準株2菌株に対して作用時間10分から殺菌効果を示し, 臨床分離株2菌株においては作用直後から殺菌効果を示した.強電解酸性ジェルハードタイプ (グレープ無) は臨床分離株P.gingivalisに対して作用直後から殺菌効果が認められ, その他3菌株に対しては作用時間10分から殺菌効果を示した.in vivoでは強電解酸性ジェルソフトタイプ (グレープ無) は歯周ポケット内投与1, 3, 7日後で投与直前と比較して有意に菌数の減少を示した.これはペリオフィール®とほぼ同墜の結果であった.孟の他3種のジェルでは有意差が認められなかった場合でも菌数の減少傾向をmした.また, 投与剛後の臨床症状の変化には有意差は認められなかった.以上の結果から強電解酸性ジェルはグラム陰性偏性嫌気性桿菌に対して強力な殺菌効果を示し, 歯周ポケット内細菌を減少させる効果があることがわかった.

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