昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
コーヌスクローネの維持力に関する研究
外冠の厚み, 使用金属の変化と維持力との関係について
小六 英斗塚崎 弘明丸谷 善彦大森 悠椎名 幸恵芝 〓彦
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 24 巻 2 号 p. 160-171

詳細
抄録

コーヌスクローネの外冠金属の厚さ (0.4, 0.6, 0.8mm) を変化させ, また硬さの異なる2種類の金属 (白金加金・デグロールM, チタン含有コバルトクロム合金・デンチタン) を外冠に適用してコーヌス角 (4°, 6°, 8°, ), 内冠の高径 (2, 4, 6, 8, 10mm), 荷重量 (5, 10, 15kgf) の組合せを変化させて, コーヌスクローネの維持力への影響を検討することを目的として基礎的実験を行った.その結果, デグロールMはすべてのコーヌス角, 荷重条件下において, 外冠の厚さが厚くなるに従って維持力は小さくなる傾向を示したが, その減少率は荷重量が増えるに従って各コーヌス角ともに一定の値を示した.また, いずれの厚さの外冠においても, コーヌス角が大きくなるに従って維持力の平均値および標準偏差が減少する傾向を示し, また荷重量の増加に伴って維持力が増加する荷重依存性を示した.デンチタンの維持力は, デグロールMと同様コーヌス角が小さくなるに従ってまた高径が高くなるに従って維持力が増大する傾向を示した.しかしデグロールMと比較して各コーヌス角および各高径による維持力の差は小さく, 低い高径および大きいコーヌス角にもかかわらず高い維持力を示した.またすべての外冠は荷重増加に従って維持力が増加する荷重依存性を示した.デンチタンはすべての高径においてデグロールMと比較して強い荷重依存性を示した.また金属の違いにより維持力の発現傾向は異なった.デンチタンは歪みそのものに関わってくる荷重量の影響を大きく受けたが, コーヌス角や高径などの影響はデグロールMほど端的には現れなかった.

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top