昭和歯学会雑誌
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変則抜歯により矯正治療単独で治療した骨格性下顎前突症の一例
久保田 雅人槇 宏太郎
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2004 年 24 巻 2 号 p. 204-214

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抄録

外科的矯正の適応には数多くの要因が加味されるため, その判定基準は一定ではなく, また矯正治療単独で治療することが可能かの判定基準も曖昧である.本症例はoverjet-5mm, overbite+3.5mmで前歯部の反対咬合が認められる下顎の過成長による骨格性下顎前突症である.また正貌においては下顎の右側への偏位が認められたことから, 外科的矯正の適応症例であると思われた.しかし患者から外科矯正回避の希望があったため, 過剰歯を含む変則的な9本の抜歯を行い, 矯正治療単独で治療を行った.外科的矯正を併用しないことにより, (1) 顔貌の非対称の改善がなされていない (2) 正中線が上下で一致していない (3) overjetに左右差が認められる (4) 左右大臼歯部における頬舌的トルクの左右差が認められるなどの問題点が残された.また保定後も若干不安定な様相が認められた.骨格的な歪みを残したまま咬合の再構築を行う場合は, 顎顔面形態の3次元的把握と口腔周囲機能との関連性についてより多くの情報を解析し治療目標を設定するとともに, 従来の咬頭嵌合を確立するという目的を考え直す必要性が認められた.

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