昭和歯学会雑誌
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歯科病院におけるCT検査の意義
関 健次荒木 和之木村 幸紀佐野 司花澤 智美松田 幸子山本 実佳田谷 あつ子原瀬 裕一辻有 里子土田 涼子舟橋 逸雄岡野 友宏
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2006 年 26 巻 2 号 p. 175-184

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抄録

X線CTは口腔・顎・顔面領域の疾患の診断に有用であり, 昭和大学歯科病院にも1990年に導入されたのちに, 2003年に多列検出器CT装置 (MDCT) に更新された.CT設置後15年が経過したので, これまでの検査の概要を集計し, 本院におけるCTの適用にっいて検討するとともに, 費用・収入についても検討した.検査件数は徐々に増加し, 現在は年間1,200例程度で推移している.特に多いのは, 悪i生腫瘍およびインプラントに関連した検査である.悪性腫瘍の症例では初診時における診断や, 治療方針の決定から, その後の経過観察にいたるまで頻繁に利用されていた.インプラントの症例では, 術前評価にCTが有用であり, 学内外から, 多くの検査依頼があった.この他には, 顎骨周囲の蜂窩織炎や膿瘍の症例で検査依頼があった.装置購入費と維持経費のみをCTの支出とすると, CTの収支は収入が支出を大いに上回った.これは一般開業歯科医との連携による検査紹介が多いためであった.本院においては今後, 腫瘍や炎症の診断にはMRIや超音波検査が, またインプラントにはコーンビームCTの活用が予測されるが, 現時点ではCTは本院における必須の装置と考えられ, また病院収入に寄与していることが示唆された。

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