昭和歯学会雑誌
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オゾン軟膏塗布による創傷治癒の病理組織学的研究
栗原 規剛
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2006 年 26 巻 4 号 p. 338-347

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抄録

オゾン軟膏, 電解酸1生機能水, 強電解酸性ジェルおよびオゾンジェルを創傷治癒の促進基剤として歯科臨床での応用を目的として基礎的研究を行った.材料として4週齢雄性Wistar系ラット16匹, オゾン軟膏, マクロゴール軟膏, オゾンジェル, 強電解酸性ジェル, 電解酸性機能水を用いた.ラットにエチルエーテルにて吸入麻酔をかけ, その後デルマパンチ®(スティーフェル・ラボラトリウム社製) を用いて背部皮膚に4か所, 直径5.0mm, 深さ約1.0mmの創傷部位を作製した.作製した創傷部位に1日2回 (午前9時と午後9時), 各種のジェルおよび機能水を塗布し, 1日1回 (午後9時) 直径を計測した.直径の計測にはデンタルキャリパス® (寸法精度0.1mm, YDM社製) を用いた.実験開始から1, 3, 5, 7日後に各々4匹ずつ屠殺し, 創傷部位を摘出し, 標本を作製した.パラフィン切片標本はH.E.染色, Azan染色, Pas染色を施し, 顕鏡した.オゾン軟膏とマクロゴール軟膏を塗布した実験における肉眼的観察において, 日数の経過に伴いオゾン軟膏およびマクロゴール軟膏においても創傷面積の縮小をみとめた.しかしながら, オゾン軟膏例で創傷部位の縮小が促進され, 特に, 7日例ではオゾン軟膏と対照群との間には縮小率に有意な差が認められた.組織学的観察ではオゾン軟膏例において良好な所見を認め, オゾンを含まないマクロゴール軟膏例と比較し, より強い創傷治癒促進効果があることが考えられた.また, 電解酸性機能水, 強電解酸性ジェル, オゾンジェル, オゾン軟膏を創傷に塗布した実験では, 特に7日例において電解酸性機能水とオゾンジェル, 電解酸性機能水とオゾン軟膏, そして強電解酸性ジェルとオゾン軟膏の問に有意差が認められた.組織学的観察においてもオゾン軟膏例が最も良好な所見を呈しており, 次いで強電解酸性ジェル, オゾンジェル, 電解酸性機能水の順に良好だった.肉眼的観察および組織学的観察から, オゾン軟膏は電解酸性機能水, 強電解酸性ジェル, オゾンジェルと比較し良好な結果が得られた.それに加えて創傷部位へ塗布しやすいなどの長所を有しているため, 創傷部位への治療薬として応用できる可能性が示唆された.オゾン軟膏の創傷治癒に及ぼす影響を観察するため, 実験的に創傷部位を作製し, その創傷に対する影響を電解酸性機能水, 強電解酸性ジェル, オゾンジェルとで比較検討した結果, 以下の結論を得た.1.オゾン軟膏例とコントロール軟膏例との比較では, H.E.染色所見から, 上皮の再生度に有意な差は認められなかったが, Azan染色所見より, 上皮下の膠原線維の形成度はオゾン軟膏例において良好な結果を得た.2.創傷部位の治癒に関する肉眼的観察では, オゾン軟膏を塗布したものが最も良好であり, 次いで強電解酸性ジェル, オゾンジェル, 電解酸性機能水の順であった.3.肉眼的観察における直径の計測では, 7日例において, オゾン軟膏と電解酸性水の間に16.0%, オゾン軟膏と強電解酸性ジェルの間に9.5%, オゾンジェルと電解酸性機能水の問に14.5%の縮小率を示した.4.組織学的観察では, H.E.染色所見による上皮の再生度の観点から, オゾン軟膏を塗布したものが最も良好であり, 次いで強電解酸性ジェル, オゾンジェル, 電解酸性機能水の順であった.また, Azan染色所見から, オゾンを含有しているものにおいて順調な膠原線維の形成が認められた.5.Pas染色所見では, 全ての組織像において再生上皮内にグリコーゲン穎粒が認められ, 特に組織の再生を阻害するような所見は得られなかった.以上の結果から, オゾン軟膏は口腔領域への応用の可能性があること, また, 創傷治癒の促進効果があることが示唆された.

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