昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
磁性バーアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーのバイオメカニクス解析
吉岡 達哉内田 圭一郎佐藤 裕二松橋 智史
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 27 巻 2 号 p. 117-123

詳細
抄録

無歯顎患者に対して, インプラントを支台としたオーバーデンチャーによる補綴処置は有効な治療法であり, 中でもインプラント体を連結したバーアタッチメントは良好な臨床成績をあげている.これまでインプラントに連結するバーアタッチメントのカンチレバーの長さは臨床経験から決定されることが多く, 力学的根拠に基づいたカンチレバーの設定基準に関する明確な報告はない.本研究は, 磁性バーアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャー症例において, バイオメカニクスの観点から, 三次元幾何学解析法を用いて, カンチレバーの適切な長さのガイドラインを明らかにすることを目的とした.研究の対象は, オトガイ孔間にインプラントを4本埋入し, オーバーデンチャーを装着した下顎無歯顎患者7名である.まず, バーアタッチメントを装着した口腔内状態を再現した研究用模型をシリコーン印象材を用いて製作した.次に, 研究用模型の写真を撮影し, 三次元幾何学解析により, 平均咬合力を支持するために必要なカンチレバーの長さを検討した.また, その長さと, カンチレバー最遠心から咬合力作用点までの距離の関係を比較検討した.その結果, 平均咬合力を支持するために必要なカンチレバーの長さは, 第二小臼歯に咬合力が加わった場合で平均3.2±3.8mm, また第一大臼歯に咬合力が加わった場合で平均12.0±5.8mmとなった.カンチレバー最遠心から咬合力作用点までの平均距離は, 第二小臼歯が0.9±0.5mm, 第一大臼歯が1.1±0.3mmであった.以上から, カンチレバーを設置することは支持力を大きくするために非常に有効な方法であるが, 第一大臼歯に加わる咬合力を, オトガイ孔間のインプラントを用いたバーのみで支持するためには, 12.Omm以上の非常に長いカンチレバーが必要であった.したがって, 大臼歯部に加わる咬合力を負担するためには, 床下粘膜による支持も重要であることが示唆された.

著者関連情報
© 昭和歯学会
次の記事
feedback
Top