昭和歯学会雑誌
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下顎側切歯の左右側の関係について
小山 弘治小沢 俊泉 邦彦堺 拓之松本 頼之若月 英三
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1984 年 3 巻 2 号 p. 210-220

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抄録

下顎切歯は左右側の鑑別が困難な歯といわれている.そこで今回は, 下顎側切歯の歯根の形態と歯頸線蛮曲の高さとの関係について, 下顎中切歯の場合と同様の方法を用いて検討した.その結果, モアレ縞による隣接面の根面形態は縦隆線, 平坦, 凹状, 縦溝の4型に分類できた.そして・これらの形態が互いに隣接面で異なった形態を有するものの組合せは, 縦隆線-縦溝, 縦隆線-凹, 縦隆線平坦, 平坦-縦溝等の組合せで, 約95%であり, 隣接面の歯頸線蛮曲の高さは, 平均・高いほうが2・38mm, 低いほうが1.79mmである.そして, 隣接面の歯頸線湾曲の高さの差のみられるものは98%である.さらに, これらの関係を個体別にみると, 隣接面の根面形態が縦隆線系 (縦隆線平坦, 浅溝等) のもので歯頸線蛮曲が高く, その反対側の隣接面の根面形態が縦溝系 (弱い縦隆線, 深溝等) のものて歯頸線蛮曲が低いものの組合せは, 約80%であり, 大部分をしめ, 下顎中切歯と同様に隣接面の根面形態の形の差と歯頸線蛮曲の高さの差によって左右側を鑑別することができる歯の一つでもある

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