昭和歯学会雑誌
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最近における口腔領域化膿性炎からの検出菌とその薬剤感受性について
田代 恒久斎藤 健一塩田 猛手塚 多恵子鈴木 規子大野 康亮吉田 広道 健一出口 浩一
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1984 年 4 巻 1-2 号 p. 40-47

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抄録

口腔領域化膿性炎の診断と治療において, 病巣からの検出菌の種類とその薬剤感受性を知ることは重要である.今回われわれは, 口腔領域化膿性炎患者86名から分離された208株について菌種および薬剤感受性について検討したので報告する.検出菌はa-StrePtococcusが86症例中73.3%, 以下Peptostreptococcus 45.3%, Peptococcus 30.2%, Fusobacterium 22.1%, Veillonella 8.1%なとの順で, 総検出菌数に占める割合がグラム陽性球菌が62%, 嫌気性菌が51%と高率であった.これらは単独菌の検出例は20.2%と少なく, ほとんどが複数菌検出例であった.また従来口腔領域感染症の主体的な役割をもつとされていたStaPhylococcus aureus, Streptococcus Pyogenesなどの強毒菌は各0.5%と少数であった.薬剤感受性試験結果はFusobacterium, StaPhylococcus aureusを除くほとんどの菌はABPC, AMPCに対して良好な感受性を示したが, CEXではPC系に比べ全般に低い感受性であるという結果であった.

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