咬筋肥大症は審美的障害のほかに, ときには開口障害, 咀噛障害, 顎関節障害などの機能障害を伴う疾患で, 1880年Leggが最初に報告したが本邦での報告は数例にすぎない.われわれは最近本症の2症例を経験したので報告する.症例1は22歳男性で両側下顎角部の無痛性膨隆が認められた.両側咬筋肥大症の診断のもとにObwegeser-Beckers法による外科的整形手術を施行した.症例2も22歳男性で左側下顎角部の膨隆を認め, 左側咬筋肥大症の診断のもとにObwegeser-Beckers法により左側咬筋を切除した.今回われわれは咬筋肥大症の2症例に遭遇し, 口内法によるObwegeser-Beckers法整形手術を施行した.下顎角部の骨の突出を認める症例1では骨削除も行い, 骨の突出がない症例2は咬筋切除のみで良好な結果が得られた.