昭和歯学会雑誌
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象牙質形成不全症 (Dentinogenes isimperfecta) の一症例の経年的観察
佐藤 昌史山下 登鈴木 康生佐々 竜二金子 春樹東 昇平
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1985 年 5 巻 2 号 p. 148-159

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抄録

象牙質形成不全症 (Dentinogenesis imperfecta) は遺伝的因子によって, 特異的に象牙質の形成障害を起こす疾患であり, その遺伝形式は常染色体優性遺伝を示し浸透率は高いとされている.また本症は骨形成不全症を伴う場合と単独で発症する場合とが認められる.今回著者らが経験した症例は, 骨形成不全症の三大徴候がみられず単独で発症したと思われる象牙質形成不全症の女児について, 2歳2ヵ月から6歳3ヵ月まで経年的観察を行ったものである.臨床的, 組織学的に検索を行った結果, 以下のような所見を得た. 1) 遺伝的背景は問診の結果, 母親および母方の近親者に本症が疑われた. 2) 全乳歯にオパール様の独特な色調がみられ, 咬耗エナメル質の剥離が著しく認められた.X線断こは, 全乳歯に経年的に歯髄腔の狭窄する様相が観察され, 形成過程にある永久歯胚においても, その徴候がみられた. 3) 組織所見では象牙細管の走行は不規則で, 消失した歯髄腔は, 非常に細い管状構造として観察された

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