昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
可撤橋義歯の設計 (第1報)
スプリント効果について (その1)
豊島 義博五十嵐 順正芝 〓彦
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 6 巻 1 号 p. 32-38

詳細
抄録

歯周処置後の動揺歯を支台歯として利用する補綴処置法として, 近年可撤橋義歯が多用されるようになってきた.なかでも広く臨床応用されているコーヌステレスコープデンチャーについてわれわれはさまざまな角度から検討を加えている.今回は可撤橋義歯の設計上問題とされる支台歯の連結によるスプリソト効果について二つの実験的観察を行ったので報告する.第一は, 連結支台歯数と動揺量の変化を観察したものであり, 第二は, 1次スプリソト (固定性スプリント) と2次スプリント (可撤性スプリソト) の違いによるスプリソト効果の差違を観察したものである.二つの観察結果により次のような結論が得られた.1) 連結支台歯数を増加すると, その連結歯群の動揺は減少する.2) 動揺歯の連結は, 連結した個々の歯の動揺も減少する.3) 1次スプリントと2次スプリントでは, そのスプリント効果に差違はない.4) スプリソトの期間は, 長期にわたるほど動歯を減少し安定させられる.5) スプリント効果の発現は, 3週間ごとの観察によると, スプリソト開始後最初の3週間に大きく現れ, 以降は安定した状態になる.

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top