1986 年 6 巻 1 号 p. 39-43
第1報において上下顎の咬頭嵌合関係を規定している「支持域」の定量化について検索を行い, その結果, 上下顎おのおのに両中切歯間, 両側第一大臼歯の3標点を結ぶ三角形を想定し, この二つの三角形を含む平面の傾きとして顎位の変化を捉えた.そしてその変位量は3標点間の垂直的変位を測定記録すれぽ可能であることを示した.またこの方法によって「支持域」を構成する咬合接触の喪失に伴い下顎位も変位することを報告した.そこで今回はこの方法によって「支持域」が健常な個性正常咬合者で臨床的に正常と思われる咬頭嵌合位を有する者についてその安定性について検索したところ, 咬頭嵌合位の様相は4型に分類された.また歯牙接触時より咬みしめを行わせたところ, 咬頭嵌合位は機能状態においておよそ100μm以内の範囲で変位することが明らかとなった.