昭和歯学会雑誌
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部分床義歯の着脱時に維持歯が受ける負荷 (第1報)
種々の維持装置における維持歯の負荷
八川 昌人五十嵐 順正芝 〓彦
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1987 年 7 巻 1 号 p. 104-114

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抄録

部分床義歯の長期的に安定した予後を決定する因子の一つとして維持歯の保護が挙げられる.これは口腔内で作用する種々な力によって大きな影響を受けていると考えられる.義歯は咬合, 咀囎などの機能によって種々の動きを示し, それは維持装置を介し, 維持歯への負荷, 離脱力となって伝えられる.そこで, 維持歯の保護の観点に立ち現在広く用いられている5種類の維持装置, すなわち鋳造ガイドプレーンレスト付2腕鉤, 鋳造ガイドプレーソなしレスト付2腕鉤, 0.9ミリワイヤー屈曲ガイドプレーンなしレスト付2腕鉤, R.P.I.クラスプ, コーヌスクローネを用い, 疑似模型と実際の口腔内において維持歯の離脱時の動揺を2次元的に調べそのときの維持力を計測した.5種類の維持装置のなかでは, コーヌスクローネが離脱時の頬舌的振動幅が平均49μmと最も小さく, しかも維持歯の生理的動揺範囲におさまっていた.しかし, その他の4種類の維持装置は離脱時, 維持歯に生理的動揺範囲を逸脱する動揺を与えることから判断して離脱時の負荷という観点からは,適切なものといいがたいという結果を得た.

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