昭和歯学会雑誌
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日本人成人における顎態と鼻の形態との関連について
-側方頭部X線規格写真による分析-
鮎瀬 節子加藤 博重平出 隆俊柴崎 好伸福原 達郎
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1987 年 7 巻 1 号 p. 45-53

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抄録

本研究の目的は, 歯科矯正診断に不可欠な頭部X線規格写真計測法における, 軟組織の分析基準の一つとして, まだ明らかにされていない鼻部の外形を, 定量, 定性的に調査検討し, 矯正診断の指標の一つとすることにある.研究資料としては, 昭和大学歯学部学生ならびに同病院矯正科に来院し成長がほぼ完了したと思われる矯正未治療の男子150名, 女子150名, 計300名の側方頭部X線規格写真 (以後セファログラムと略す) を使用した.研究方法は, 資料を男女それぞれ, 骨格的に正常なものを中性タイプとし, これに下顎前突タイプ (以後下前タイプと略す), 上顎前突タイプ (以後上前タイプと略す) を加えた三つの骨格型に分類し, 男女計6グループとした.基準線は, 水平方向をFH pl., 垂直方向を鼻背最陥凹点を通り, FH plに垂直な線INV.を設定し, 鼻の形態の特徴を表わす鼻の深さ, 向き, 鼻尖部の形態を計測した.そして, それぞれの項目において, 男女の骨格型における違いや鼻部周囲の軟, 硬組織上の点との相関関係を検討した.結果 : 1) 鼻の深さ, 向き, 鼻尖部の形態に性差が認められた.また, それぞれの骨格型により, 鼻の深さ, 向きにも差が認められたが, 鼻尖部の形態には差が認められなかった.2) 鼻の深さ, 向きは, ANS, A点, Snのそれぞれの位置およびPalatal pl.の角度と有意の相関があったが, 鼻尖部の形態は上記の諸項目との相関が低かった.

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