昭和歯学会雑誌
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牛乳中結合型フッ素およびイオン型フッ素測定の検討
別所 洋子
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1987 年 7 巻 2 号 p. 154-165

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抄録

人体のフッ素 (F) 摂取量推定の基礎として食品中F濃度の測定は必須なものであるが, 近年ではその測定はtotal Fとonizable Fに分けて行われる場合が多い.しかし牛乳中のtotal F測定のためには, 複雑な前処理が必要であり, 測定法も確立されていない.当教室では以前から低温酸素プラズマ灰化による有機質試料の前処理を検討しており, 今回はこの前処理法を牛乳中F測定に適用するため, 灰化条件と測定値の再現性の検討およびF添加回収試験を行った.同時にionizable FについてもFイオン電極による直接測定と無灰化試料を直接微量拡散したのち, ガスクロマトグラフによる測定を行う方法について, それらの至適条件の検討および両者の測定値の比較を行った.Total Fを測定するための灰化装置はBranson/IPC 1005型を用い, 市販牛乳を試料量1ml, 固定剤無添加, 出力100W, 酸素流量100ml/min, 灰化時間6時間の条件で灰化し, F測定値の再現性およびNaF添加回収試験においてかなりの好成績を得た.また直接微量拡散によるFの分離は血清および血漿の場合と同様に, total Fを測定することはできず, ionizable Fのみを定量的に分離していることが示された.牛乳中のionizable Fのレベルはほぼ0.02μg/mlでありFイオソ電極の測定限界に近い.しかしこのような低濃度測定においても試料と交互にF標準液を測定して検量線の補正を行うことにより, かなり高い再現性が得られた.次に, これらの検討成績から, それぞれの至適条件を用いて市販牛乳20種類のF測定を行った.Total Fとionizable Fの測定値はそれぞれ0.079±0.014μg/mlと0.020±0.004μg/mlであった.またtotal Fとionizable Fの比は3.2-5.3となり, かなり変動していることが示された.

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