昭和歯学会雑誌
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乳歯の弯曲徴についての研究
貝塚 嘉信山口 普美濃部 浩久若月 英三
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1987 年 7 巻 2 号 p. 183-194

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抄録

歯の左右側の鑑別にはMühlreiterの三徴候がよく一般的に用いられている.その一つに弯曲徴があり, 歯冠を切縁 (咬合面) よりみて, 唇 (頬) 面と近・遠心面との移行部 (近・遠心縁) は近心にくらべ遠心が丸味をもつことを弯曲徴としている.しかし, 切縁または咬合面からみて, 近・遠心両隅角を結ぶ線は頬舌軸に対し斜交し, 遠心縁の方向に傾斜するのがMühlreiterの本来の意味であり, この弯曲徴は歯列が曲線を描くために生じたものであるという.この方法による研究は, 佐伯らの霊長類についての研究がみられる.そこで, 乳歯について, 空間座標測定装置 (Vectoron) を用いて, 図化計測し, 統計的に検討した.齲蝕や充填, 欠損のない正常歯列咬合と思われる乳歯列より通法により得た上・下顎石膏模型50個使用した.これらの石膏模型をVec-toronにより咬合平面を基準として, 咬合面からの各歯の近・遠心両隅角と唇 (頬) 舌仮想軸を拡大図化して, これらの角度と正中線に対する角度を計測, 統計的に検討した.その結果, 弯曲徴のみられない歯は, 左側下顎乳中切歯で, 弯曲徴がわずかにみられるものは左側上顎乳中切歯と左側上顎第二乳臼歯, 右側下顎第二乳臼歯であり, 残りの歯はすべて弯曲徴の認められるものであった.しかし, 平均値で弯曲徴の認められるものでも, 逆の弯曲徴がみられるものは各歯とも約30-40%近くみられた・各歯の正中線に対する唇 (頬) 舌仮想軸の角度と各歯の弯曲徴の角度との相関関係は上顎では, 乳中切歯, 乳側切歯, 乳犬歯, 第一乳臼歯, 下顎では乳中切歯に相関がみられず, 他の残りでは右側または左側に逆の相関がみられた.このことは, 歯列弓弯曲が強くなれば歯の弯曲徴は弱くなるか逆の弯曲徴を示す傾向を呈した.

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