昭和歯学会雑誌
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試作ガリウム合金の臨床的観察
6か月間の観察結果
山下 隆史伊藤 和雄和久本 貞雄
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1987 年 7 巻 2 号 p. 207-212

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抄録

従来より臼歯部咬合面の修復材料として広く用いられてきたアマルガムは, 水銀による環境汚染, 余剰アマルガムの廃棄処理等の問題により, しだいに接着性コンポジットレジン修復に変わりつつある.しかしながら, アマルガムは, 良好な操作性を有するという利点から, 今日もなお使用され続けている.ところが最近, このような操作性をもち, 水銀の代わりにガリウム合金を用いる歯科用練成修復材料が試作された.本研究は, この試作ガリウム合金を用いて, 短期間ではあるが臨床経過を観察し, その臨床応用の可能性を検討したものである.すなわち, 粉末合金と液状合金とをアマルガムと同様に練和して窩洞に填塞し, 1週間後に研磨した.臨床経過の観察は, 全17症例について, 研磨直後より1か月, 3か月および6か月後に行い, 肉眼的, また口腔内写真で変色ならびに表面荒れを, レプリカ法により, その辺縁を比較し, 観察した.その結果, 次のような知見が認められた.1) 1か月後には, 全症例において金属光沢の消失および部分的な表面荒れが観察され, この表面の粗造化は6か月まで経時的に拡大していた.2) 1) の表面荒れは, しぼしば辺縁にまで波及し, 単純な辺縁破折との鑑別が困難であったが, 3か月後からは, 辺縁の破折が増大する傾向が認められた.3) 今回使用したガリウム合金を臨床に応用するためには, さらに耐蝕性を向上させる何らかの改良が必要であると考え, 現在検討中である.

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