昭和歯学会雑誌
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臼歯用コンポジットレジンの2年間にわたる臨床経過
中里 淳一下村 博東光 照夫久光 久和久本 貞雄
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1988 年 8 巻 1 号 p. 77-84

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抄録

臼歯用コンポジットレジンの臨床的有用性を総合的に評価するために, 5種類の臼歯用コンポジットレジソ (2paste type として, Bellfee1 (BF), Clearil Posterior (CP), Microrest AP (MAP), light cure type として, Fulfil (FF), Heliomolar (HM)) を22症例に充填し, 研磨直後, 3か月, 6か月, 1年, 2年後の臨床経過観察を行った.各リコール時には視診により咬耗・破折・変色・褐線の有無, 触診により階段・2次爾蝕の有無を診査するとともに, 口腔内写真をi撮影した.さらに付加重合型シリコーン印象材で印象採得を行いエポキシ樹脂でレプリカ模型を作製し, SEMにて詳細な観察を行った.なお, 窩縁形態はすべてラウンドベベルとした.その結果, 1) 咬耗はCP, MAPに多く観察された.2) 辺縁破折はCP, HMにとくに多くみられ, 全症例の約半数に観察された.3) 明らかな変色はCPの1症例に観察された.4) 褐線はCPとMAPの各2例にのみ観察された.5) 階段はすべてのレジンで約半数の症例に観察された.6) 2次騙蝕はBFの1症例のみに観察された.7) SEM観察を行った結果, 辺縁部破折の様相はアマルガムのそれにきわめて類似した像が観察された.8) 臨床的評価と理工学的物性との間には, 必ずしも相関はみられなかった.9) 臼歯部用コンポジットレジンには, 臨床的にまだ多くの問題があり, 今後さらに材料面で改良を加えるとともに, 術式においても検討をする必要があると思われる.

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