昭和歯学会雑誌
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ラットを用いた上顎側方拡大法
-とくに口蓋粘膜の組織変化について-
鮎瀬 節子柴崎 好伸福原 達郎立川 哲彦
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1988 年 8 巻 2 号 p. 169-179

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抄録

上顎骨の側方拡大は, 上顎骨の狭窄を伴う咬合異常の治療として不可欠なものとなっている.この治療法に対する基礎的な研究は, これまで大型動物 (イヌ, ネコなど) を使用した実験が多いため, 経時的に十分な組織学的検索をすることが困難であった.今回著者は小型動物における上顎骨側方拡大法を試行し, 拡大後の組織変化について検討を加えた.その結果, ラット用拡大装置を長期間口腔内に固定することが可能であり, また拡大後の保定装置としても同時に使用できる実験法であることが判明した.拡大時の口蓋粘膜の組織学的所見は, 膠原線維が分離し, 細線維となり, 口蓋骨の骨膜線維は側方に傾斜した状態を示した.装置装着後2週間では, 矯正力が0となり, 拡大後の保定が十分になされている状態を示した.

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