昭和歯学会雑誌
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実験的歯周炎における骨吸収の超微形態学的研究
小勝 弘明鈴木 基之宮下 元長谷川 紘司瀬川 和之滝口 励司
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1989 年 9 巻 1 号 p. 56-62

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抄録

ラットに食片圧入による実験的歯周炎を誘発させ, 骨吸収部位に出現する細胞および骨基質の構築の超微形態を透過電子顕微鏡および走査電子顕微鏡を用いて観察した.骨吸収面には細胞内に多数の空胞, ミトコンドリアを有し, よく発達したruMed borderとclear zoneにより骨面と接する破骨細胞や, コラーゲン吸収細胞が相互に, きわめて近接した位置に存在するのが観察された.コラーゲン吸収細胞は, 限界膜からなる細管状の小体にコラーゲン細線維を含み, 小体の膜の一部に被覆小胞様の小器官が癒合している所見が観察された.また骨吸収面基質には, 多数の大小さまざまな吸収窩が広範囲に観察され, それぞれの吸収窩底の超微形態には, 差異が認められた.以上の観察より, 本実験における骨吸収面上での骨および骨周辺の結合組織の破壊は, きわめて活発に, ほぼ同時期に行われていることが示唆された.

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