1989 年 9 巻 3 号 p. 288-296
新しく開発したストレイン・ゲイジ応用の維持力測定装置およびクエット型回転粘度計を使用して, 異なる口蓋形態を持つ6人の被験者において口蓋床の維持力を測定し, 介在液の粘度および口蓋の形態が上顎義歯床に及ぼす影響について研究を行った.その結果, 投影面積率の大きい, 平坦な口蓋形態を持つ者ほど口蓋床の維持力は大きかった.しかしながら, 介在液の粘度が同じ場合, 単位投影面積あたりの維持力を比較すると, 口蓋形態による差異は認められなかった.また, 介在液がグリセリンおよび混合唾液の場合, 介在液の粘度と口蓋床の維持力の間には高い相関が認められた.