Dental Medicine Research
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全身麻酔下におけるラット眼圧におよぼすクロニジンとアトロピン同時投与の影響
長澤 郁子鶴岡 正吉井上 富雄吉村 節
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2008 年 28 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

塩酸クロニジンは, 麻酔前投薬として用いられるが, 交感神経活動を抑制し, それに伴う血圧の低下, 徐脈をもたらす.これらの副作用を抑制するために硫酸アトロピンが術中に併用されることが多い.塩酸クロニジンと硫酸アトロピンは, 眼圧にも影響を与えることが知られているが, 眼圧に対する両薬物の同時投与の影響については報告されていない.そこで両薬物同時投与のラット眼圧に対する影響を検討した.雄性ウィスター系ラット (250~300g, n=38) を用い, ウレタン麻酔を施し, 自発呼吸下で, 眼圧, 平均動脈血圧, 心拍数に対して, 薬剤投与前後の変化を経時的に記録した.クロニジン投与群では眼圧, 平均動脈血圧が有意に降下したが, 心拍数において変化は認められなかった.クロニジンとアトロピンの同時投与群でもクロニジン単独群と同様に, 眼圧, 平均動脈血圧は有意 (p<0.05) に降下したが, 心拍数の変化は認められなかった.アトロピン単独群では眼圧, 平均動脈血圧で有意な変化は見られなかったが, 心拍数は有意 (P<0.05) に上昇した.以上の結果は, 眼圧の変化においては, アトロピン投与の有無にかかわらずクロニジンの反応性はほぼ同等であることを示唆している.このことは, アトロピンによる眼圧上昇がクロニジンの同時投与により軽減ないしは回避される可能性を示唆している.

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