Dental Medicine Research
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側方咬合位の咬合接触面積と咀噛運動
渡邉 昌明
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2008 年 28 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

側方咬合位の咬合接触面積および咬合力が加わった機能時の咬合接触状態と咀嚼運動経路, 咀嚼リズムおよび咬頭嵌合位付近の運動様相との関係について検討した.正常有歯顎者17名の咬頭嵌合位と顎位規定装置で規定した左右側方咬合位との咬合接触を, 軽い咬合時と強い咬合時において記録した.咀嚼運動は, 経路の安定した10ストロークを記録して, 前頭面の咀噛運動経路と咀嚼リズムおよび咀嚼運動の閉口路上で咬頭嵌合位から1mmの側方咬合位からの入射角 (前頭面) を求めた.その結果, 咬頭嵌合位および側方咬合位 (作業側, 平衡側) の咬合接触面積は, 強く咬合すると増加した.咬頭嵌合位に近接する側方咬合位における (作業側, 平衡側) の咬合接触面積は, 咀嚼運動経路全体のパターンではなく, 運動経路のうち咬頭嵌合位付近の偏心位から咬頭嵌合位に咬み込む際の入射角と関連していた.この関連性は, 軽く咬合した場合と強く咬合した場合のいずれの場合にもみられた.以上のことから, 臨床的に平衡側の咬合接触は咬合力が加わった場合に発現してくることもあるので, 歯冠補綴物の咬合調整に際しては, 最終段階でやや咬合力を加えた状態で咬頭傾斜を考慮して平衡側の咬合接触状態を確認する必要が示唆された.

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