Dental Medicine Research
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睡眠時ブラキシズム-合理的な診断と歯科的対処法
馬場 一美
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2008 年 28 巻 3 号 p. 187-194

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抄録

睡眠時ブラキシズムは睡眠中に行われる歯ぎしりとくいしばり(咬みしめ)の総称で,咀囑筋活動を主体とした非機能的運動である.過去の研究によりブラキシズムが覚醒時の最大咬合力を超えるほど大きい力を伴うことや数分間にもわたって持続することがあると報告されており,このようなブラキシズムは顎口腔系に破壊的に作用する可能性がある.歯科臨床においても歯の咬耗,ポーセレンの破折,歯根破折,インプラントの脱落など,ブラキシズム関連のトラブルには枚挙にいとまがないが,特に欠損歯列患者においてはブラキシズムの力が残存歯に集中するため注意を要する.高度な知識と技術を駆使して渾身の治療を行っても,ブラキシズムの評価を誤ると不幸な結果を招くことになる.
ブラキシズムの評価は,睡眠ポリグラフにより正確に行うことができるが,臨床的には患者への問診や歯の咬耗面の診査によって行われる.ところが,従来ブラキシズムを示唆すると考えられていた臨床所見と実際のブラキシズム・レベルとの関連性を支持する科学的根拠は強固ではない.
ブラキシズムの原因については,多くの因子が関連していると考えられているが,未だ一定の結論は得られてない.それゆえ,現時点ではブラキシズムを効果的に抑制できる定型的な治療法はない.結果として,前述の歯科的問題を予防するためには,ブキシズムの力から顎口腔系を護ることを主眼とした対応にならざるをえない.ここで,ブラキシズムによって顎口腔系にもたらされる力は咬合関係により規定されるため,両者の対応関係を理解することは歯科臨床において,特に欠損歯列患者のブラキシズムに対応する上できわめて重要である.本稿では,睡眠時ブラキシズムに関する最新の研究成果を紹介し,ブラキシズムの臨床診断方法と対処法を解説する.

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