日本皮膚科学会雑誌
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ラット皮膚High-Molecular-Weight Protease 2.生化学的性質について
須賀 康山田 裕道高森 建二
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1990 年 100 巻 10 号 p. 1053-

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抄録

ラット皮膚High-Molecular-Weight Protease(HMWP)を分離精製し,酵素の諸性質について検討した.本酵素は,セリン系プロテアーゼの基質であるsuccinyl-leucyl-leucyl-valyl-tyrosine-methylcoumarinamide(SLLVT-MCA)に最も高い基質特異性を示し,システイン(SH)プロテアーゼの基質であるZ-phenyl-arginyl-methylcoumarinamide(Z-Phe-Arg-MCA)なども軽度ながら分解した.酵素活性はSDS濃度0.03%,pH8.5において最大活性を示した.セリンプロテアーゼ阻害剤のdiisopropylfluorophosphate(DFP)とSHプロテアーゼ阻害剤のN-ethylmalemide(NEM),Iodoacetamide(IA),leueptin,そして,セリンプロテアーゼとSHプロテアーゼ両方の活性阻害作用を有するchymostatinにより酵素活性は抑制され,本酵素はセリンプロテアーゼとSHプロテアーゼの両方の性質を有する特異なプロテアーゼであることが示唆された.

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© 1990 日本皮膚科学会
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