日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎患者におけるダニ成分貼付試験結果 第2報 虫体脂質
桜井 美佐中山 秀夫久米井 晃子鶴町 和道高岡 正敏
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1990 年 100 巻 11 号 p. 1135-

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抄録

アトピー性皮膚炎をアレルギー疾患としてとらえ,ダニ脂質の抗原性について検討した.(1)ヒョウヒダニの2種,即ちヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus,以下Dp).及びコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae,以下Df)から各々脂質を抽出し,ダニ脂質抗原(Dp-L,Df-L)と仮称して貼付試験を施行した.飼料の抽出物(LC)とアセトンを対照した.(2)Df-L,LC,アセトンでは全例陰性で,Dp-LではAD21例中3例,非AD皮膚炎18例中3例計6例と少数ながらICDRG基準+以上の陽性反応を得た.(3)上記陽性反応の組織像はspongiosis,真皮上層の小円形細胞浸潤があり,好酸球も散見された.又,Leu6陽性細胞が表皮,真皮に多く認められた.(4)Dp-Lの脂質成分はリン脂質,中性脂肪が大部分を占め,リポ蛋白は含有されていなかった.以上より,ADにおけるダニ抗原は蛋白質のみでなく,脂質の検討も今後は必要と考えた.

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© 1990 日本皮膚科学会
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