日本皮膚科学会雑誌
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Adenosquamous carcinoma of the skin―電顕的および免疫組織化学的検索―
坂本 ふみ子伊藤 雅章小黒 啓子風間 隆藤原 浩手塚 匡哉佐藤 良夫
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1990 年 100 巻 11 号 p. 1183-

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抄録

83歳,女性の顔面に生じたadenosquamous carcinoma of the skinの1例について,電顕的および免疫組織化学的検索を行った.腫瘍は,扁平上皮細胞様細胞と印環細胞を含む粘液細胞からなり,腫瘍を覆う表皮内にも印環細胞様細胞が存在した.電顕的に,腫瘍細胞は多数の微絨毛を細胞辺縁に形成し,胞体内に張原線維,発達した粗面小胞体,およびムチン型分泌顆粒を有していた.印環細胞は,細胞質の大きな空胞内にムチン様の微細線維性構造物を含む細胞であった.また,腫瘍細胞間の所々に塊状物質を認め,それに面する腫瘍細胞に半デスモゾーム様構造と基底膜様構造が観察された.免疫組織化学的に,腫瘍細胞周囲の所々にラミニン染色陽性像を認め,また,腫瘍細胞はケラチン染色で重層上皮型ケラチンを発現していた.以上より,この腫瘍細胞は,表皮細胞を由来とし,それにムチンの異形成を生じた細胞と判断された.  

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© 1990 日本皮膚科学会
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