日本皮膚科学会雑誌
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限局性強皮症の組織学的検索
柳瀬 信一古谷 達孝
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1990 年 100 巻 2 号 p. 185-

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抄録

限局性強皮症の斑状型14例,剣傷状型5例および線状型2例の計21例を組織学的に検索し,その所見を病型および罹病期間との関連下に検討した.本症に極めて特徴的である結節状硬化は初期すなわち発症2年以内の症例に限って認められ,病型的にみると斑状型11例中5例(45%),剣傷状型3例中2例(67%)であり,いずれも軽重種々の硬化症病変の周辺あるいはその一部に認められ,発症2年以上の症例では病型の如何を問わず認められなかった.なお結節状硬化のみ,あるいはこれが主要所見である症例は皆無であった.上記の自験ならびに文献的所見よりみて結節状硬化は病型の如何を問わず限局性強皮症の比較的早期病変に出現する極めて特徴的な組織学的所見とみなし得る.本症の組織学的硬化は上記の結節状硬化が真皮中層,下層に初発し,その後の進展方向は左右,上下方へと種々多彩で,この進展方向および程度により主要硬化部位も変化し得る.これらの諸点で限局性強皮症の組織学的硬化所見は汎発性強皮症のそれとは異なる所見を呈した.炎症性細胞浸潤は自験21例中17例(81%)に認められ,その様式はperivascular typeのみの症例10例(59%),diffuse typeのみの症例1例(6%),mixed type6例(35%)であり,これら炎症性病変は罹病期間が比較的早期の症例に,また病型的には斑状型により高度かつ高頻度の病変が認められた.炎症性細胞浸潤の種類については炎症性病変を有する17例全例にリンパ球および組織球系細胞浸潤が認められ,この内11例には形質細胞も血管周囲性に認められた.組織学的色素失調は21例中18例(86%)に認められた.

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© 1990 日本皮膚科学会
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