日本皮膚科学会雑誌
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Trichophyton rubrumの産生する酸性及びアルカリ性プロテアーゼの動態と菌増殖・培地pH変化との関連
関口 かおる西山 千秋森嶋 隆文吉池 高志坪井 良治小川 秀興
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1990 年 100 巻 2 号 p. 215-

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抄録

Trichophyton rubrumの産生するプロテアーゼの生物学的意義を探る目的で,酸性・アルカリ性両プロテアーゼの動態と周囲のpH環境との関連を検討した.T.rubrumをBSA培地にて37℃の条件下で振盪培養したところ,①培養初期は酸性(pH4.5)プロテアーゼ活性が急激に高まるが,培養3~4週には低下,代わってアルカリ性(pH8.0)プロテアーゼ活性が遅れて増加した.②培地pHは当初6.0あったが培養と共に徐々に上昇し,4週頃にはpHは7.0付近に固定された.③菌量も徐々に増加し,培地pHが7.0付近に固定すると同時にその増加度は止った.以上よりT. rubrumの産生する酸性,アルカリ性プロテアーゼには時差発動というユニークな現象がみられ,また菌は時差発動しやすい条件(pH)を作りながら増殖していくと考えられた.

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© 1990 日本皮膚科学会
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